参院選も最終盤

7月とは思えない梅雨空の鬱陶しい毎日で、夏野菜の不出来が続いている。参院選が7月4日に告示され、21日投開票で行われる。選挙は政治離れで最終盤になっても全く盛り上がりに欠けている。

一言で政治離れと言うが、国民の政治離れよりも政治家の国民離れの方が大きい。政治家同士に論争のない選挙では、選択肢を考えようがなく、盛り上がりに欠けて当然。政治への関心や参加への現状を変えない限り、投票率は今後も下がり続けるのではないか。

特に安倍首相の政治姿勢には、丁寧に説明すると言いながら、自らは正面からの論争を避け、すり替えや無視、聞いてもいないことを延々と独演するのでは、一国の首相として国民をまとめ上げるよりも分断が進む。首相の政治姿勢が問題あることに気付いてほしいが、党内に誰も意見する人がいない。

挙句には、前政権である「民主党政権を悪夢のような」と批判し、異なる意見は、直ぐに反応し頭から否定する。少数意見や異なる意見を尊重してこそ民主主義が成り立つことを議論しても意味がないような一強を笠に着た上から目線の政治姿勢で、何かと前政権や異なる意見を攻撃する。

国権の最高機関である国会、言論の府である国会が何をしているのかがわからないくらい安倍首相の独裁が目立つ。公文書の改ざんや不都合のことを隠していたのでは、国会がまともに機能するはずがない。不信は不信を生むことがわかっていないようだ。

与野党の議論が成り立たないまま老後2千万円問題が、参院選の大きな争点にもなっている。金融担当の麻生財務大臣が諮問した金融庁報告書の受け取りを拒否した不可解な不信感が国民の不安をあおる結果になることは想定外だったのだろう。このことでも政治不信が広がった。

安倍首相は、国民生活の現状や自らの国会軽視を踏まえず、「議論する候補者や政党を選ぶのか、全く議論しない候補者や政党を選ぶのか」と自衛隊を9条に明記する憲法改正を争点化しているが、国民に関心が強い年金などの社会保障の議論や負担の在り方からは逃げ、モリカケ疑惑などの都合が悪いことは説明せず、改正の必要性の認識がほとんどないの憲法改正には執心する。

第2次安倍政権になってから6年半、安倍首相にとっては、自らの政権安定が重要だろうが、国民が将来の安心を要望しているのとは、認識が乖離している。政権評価と政策の是非を問う参院選挙。これから先の生活や社会の在り方、特に老後生活や人口減少への対応が見えないばかりか不安でいっぱいだ。

厚労省の国民生活基礎調査によると、65歳以上の高齢者世帯は、2018年6月時で27.6%、3割になろうとしている。が、そのうちの過半数(55.1%)が「生活が苦しい」と訴えている。加えて、単独世帯の高齢者の独り住まいは48.6%。孤独生活者がどんどん増え「高齢おひとり様」社会の有様が問われる。

年金収入だけが頼りの経済的不安と孤独生活で、誰にも相談ができなければ将来を悲観する人は増え続く。不都合なことには目も向けず、聞く耳もない政治から、与党も野党もなく、難題に正面から向き合う姿の政治に取り組まなければ、政治の存在感が失われるだけだ。

今回の参院選の最大争点は、与野党が真っ向から対立している「消費税」。過去2回、先送りを重ねてきた安倍政権は、10月から10%への引き上げを実施し、5兆7千億円の増収を見込んでいるが、野党は全党「増税反対」なのだから。

安倍首相は、「経済を強くすることと増税分を財源にした教育費無償化」を訴え、「全世代型の社会保障構築」を公約し、過去の税率引き上げの教訓から5%ポイント還元やプレミアム商品券発行など総額2兆円の景気対策を講じるとしている。

しかし、キャッシュレス化は国民、特に高齢者になじんでいないことや、発行コストが多額で購入できる人が限られた上に、毎日の生活に追われ、プレミアム商品券を買いたくても買うことができない低所得者や貧困層のことを暮らしに心配がない政治家は理解しているのだろうか。

加えて、飲食料品などに適用する軽減税率。お金を多額・高額に使える人に適用の恩恵が大きく格差が拡大する軽減税率は愚策だ。国民の心理は、可処分所得が伸びない現状で節約志向を強めている中で、教育費無償化や軽減税率は、高所得者により恩恵が大きく、格差対策にはならない政策だ。

安倍首相が、言い続けてきた「アベノミクス」は一体どうなってしまったのか。年率2%の物価上昇、GDP名目3%程度、実質2%程度は、何だったのか。可処分所得が実質横ばいでは、経済の好循環どころか消費低迷が続く。看板を掲げるものの中身のない政治、挙句の結果、格差拡大政治はいい加減にして欲しい。

生活の安定を言う野党も具体的政策が乏しい。小政党が展望を開くには、小政党同士が主導権争いしていてもどうにもならない。憲法にしても老後問題や社会保障にしても国民が理解できる争点を丁寧に説明してこそ議論が進み、政策判断ができる。本当に野党にはしっかりしてもらいたい。

安倍首相は、ねじれ国会で何も決められなかった参院というが、現状は、参院の存在が衆院のコピーになっている。これでは参院不要論が出て当然だ。しかし「参院とは何か」が相変わらず、あいまいなまま選挙が進められている。合区にし、特定枠をつくる、定数を増やすことよりも参院の在り方を整理する方が優先度が高い。

人口減少で疲弊が進む地方の先行きは見通せない。一方で人口の東京一極集中は止まらない。参院は地方代表の言論の府とし、全国的視野で国の振興を図ることを議論することを検討しても良いのではないか。時代に即した国会改革が必要だ。

追記
1.群馬県では、参院選と同じ日程で知事選が行われている。が、こちらも参院選同様に低調だ。政策を身近に感じないまま、誰が当選するかがわかっている選挙だから、関心の持ちようがないという理由が大きい。有権者が投票しない選挙とは???政治そのものが問題だ。
そして参院選後が心配だ。日米貿易交渉では、トランプ大統領が選挙後に期待をしていると安倍首相との貿易密約を感じさせる発言をしているし、日韓関係は悪化の一途、出口が見えない。北朝鮮拉致問題も日露の北方4島問題も進展の見通しがない。安倍首相が言う世界を俯瞰する外交の言葉が泣いている。透明度のない政治がより不透明になっている。
今の自民党は、安倍首相になってから自由も民主も活力までもが失われた。国民、国会、少数意見(野党)を軽視・無視する政党に変質してしまった。安倍首相の価値観で回りが忖度で動く自己都合、自分勝手の弱者切り捨て政治は、早く終わらせないと壊れた社会が修復できなくなる。国民一人ひとりが言うべきことに声を出すことが大切だ。一方、具体的政策を提示できない野党のふがいなさ、だらしなさも相変わらず。東京一極集中が問題だとの認識があるのであれば、人口減、少子高齢化でますます疲弊が見通せる地方再生への具体策を早急に提示するくらいはできるだろうに。とにかくトランプ頼みの緩んだ安倍政治と野党の低調は、今後も一段と政治離れ、政治劣化が懸念される。

2.生活が年々厳しくなっている。限られた年金収入で社会保険料(国保・介護保険料)や税金(消費税等)の負担が増え、医療費負担も増える。さらに物価が上がり、10月からは消費税率が引き上がる。生活の無駄を省き、節約を重ねていても先行きの不安が増える毎日。平穏の毎日でも厳しい生活が、何かあった時にはどう暮らしていけるのだろうか。家族のことを含め、長寿社会は生きることへの不安が尽きることがない。

3.今日(18日)京都のアニメ製作所のスタジオが放火された。平成以降放火事件では最悪の死者・負傷者がでる無差別テロのような事件で、名ばかりの平和ではどうにもならないくらい価値観をが変化し、社会が壊れてきている。人が困ったときに補い合い、扶け合う、いのちを大事にする社会の構築が緊急だ。